【完】STRAY CAT



「つーかお前も知ってたのかよ」



さっきまでずっと黙り込んでいた鞠。

急に声を上げたかと思うとそんなことを言い出すから、思わずそう口に出せば。鞠は「うん」となんでもないように認める。



「恭のスマホに、リカちゃんからのメッセージが来てることに気づいたじゃない?

そのあと、あすみくんにその子のことを聞いたら、『ああ、それは俺の彼女がどれだけ恭が一途なのか調べるために遊んでる』って言われて」



「……は、あ?」



「あすみから、鞠ちゃんのこと聞いてたから。

恭くん、どれだけ一途に彼女のこと思ってるかなーって気になって。なんかメッセージ送ったり色々話し掛けてみたけど、全然靡いてくれないんだもん。鞠ちゃんのこと大好きだね」



「……はあ???」



事情を説明されたところで、理解が追いつかない。

ずっとハテナ状態の俺。だって、どう考えたって意味わかんねーだろ。




「つまり……

あすみと鞠ちゃんとリカちゃんは、恭をグルで騙してたってことでおっけ~?」



「嫌な言い方だけど、まあそんな感じよ」



そんな感じよ、じゃない。

俺が本気で困ってたっていうのに、コイツらは……



「ちなみに今ふたりが一緒にいた理由は?」



「あすみから連絡先もらって、鞠ちゃんと直接話すようになって、もっと仲良くなりたかったから。

今日遊びに行く約束してて、今からプリ撮りに行こうとしてたんだけど」



偶然そこで、俺らと出くわしたのか。

ほんとはふたりで撮ったプリをアイコンにして、俺がびっくりするところまでを想定していたらしい。



しかもどうやらそれを、ふたりで考えたようで。

……なんかこの組み合わせ、すげー怖ぇんだけど。



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