【完】STRAY CAT
でも恭の答えはこれだった。
わたしと恭は、気持ちが一緒でも、それ以上……って考え方が、どうやら違うらしい。ああそうか。浮かれてたのは、わたしだけだったみたいだ。
「……どうしてもだめ?」
「ああ。付き合う気はねーし。
……それを望んでるなら、もう会いにこなくてもいい」
そっけなくて、さすがにさみしかった。
さみしかったけど、わたしは恭の彼女じゃないから、わがままなんて言えなかった。
……会いにこなくてもいい、って。
恭にとってわたしと離れるのは、そんなにたやすいことなの?って思ったら、すごくショックで。
「……わかった」
次の日は昼休みに恭のところに行かなかった。
でも普段クラスにいない分浮いてしまって、ひとりでご飯を食べるのはやっぱり寂しくて、結局その次の日は恭に会いに行った。
旧音楽室。
静かに扉を開いたのは、恭が眠っているのがドアの窓から見えたから。
「……よく寝てる」
しばらく起きないかな、なんて思いながら。
恭の隣に座って、持参したブランケットを半分掛けてあげる。サボりに使ってる教室で暖房やらストーブやら使えるわけがなくて、恭の居場所はいつも寒い。
「風邪引いちゃうよ」
「……ん、」
もぞ、と身じろぎして、結局起きない恭。
仕方ないから先に食べようとお弁当箱を開いて、ひとりシンと冷えた旧音楽室でご飯を食べていれば。
「……鞠?」