【完】STRAY CAT
黒田さんから聞いた情報を、まるっとなずなに横流しして。そのなずなから、俺に伝わってきたそれ。
確かに、ただの中学の養護教諭が、そんな話知ってるわけが無い。
「藍華の幹部のことはある程度信頼してる。
……じゃなきゃ、お嬢様に婚約も薦めねえよ」
なるほどな。
黒田さんもおそらく、みちるさんを通して俺のことは聞いていたんだろう。
あの日。鞠と突然連絡が取れなくなった日も。
なんだかんだ言いつつ俺らを部屋に入れてくれたのは、この人だった。
「ま、心配するな。
お嬢様を襲ったあいつの事は、俺が駆けつけた時にしっかりボコボコにしといたから」
「……ありがとうございます」
普段は社長秘書だが、何かあったらすぐに鞠の元へ駆けつけてくれる。
そう思えば、ものすごく心強い味方だ。OBの件も含めて、できれば敵には回したくない。
「……んで、合コンはいつなんだよ」
藍華の話や、くだらない話。
色々と話しながらメシを進めていれば、みちるさんが酔って使い物にならなくなったあたりで、黒田さんが思い出したように尋ねてきた。
「……今日って言ってましたよ」
「店は」
「……こっから3分のとこ」
「だから来たのか」
お前も大概甘いな、と酒片手に言う黒田さん。
ちなみにこの人、みちるさんの軽く2倍は飲んでると思うが、一切顔色が変わらない。どんだけザルなんだ。