【完】STRAY CAT
「うん……わたしも好きだよ」
言ったら、恭が口元をゆるめた。
レアな笑みにわたしの頬もゆるんで、ぎゅっと抱きしめ合って、キスして、ふたりの時間を堪能する。
「ねえ、恭……付き合いたい……」
「、」
「恭の彼女になりたいの……」
だからお願い、って。
わがままを言うわたしに、恭はなにか考え込んだ。
それから、「鞠」って優しい声でわたしの名前を呼ぶ。
その声色まで愛おしいって言ったら、引かれそうだけど。
「そこまで俺と付き合いてえなら……
堂々と校則でもやぶってみろよ」
その発言で、すぐにわかった。
ああわたしと付き合う気がないから、そうやって言うんだろうなって。わかってたから、逆にとらえることにした。……やれば、付き合ってくれるんでしょ?
「恭、その発言忘れちゃだめだからね?」
「言っとくけど、スマホ持ち込んだとかそんなちっせーことじゃ納得しねーからな俺」
「うん、わかってるよ」
訝るように目を細める恭。
でも言ったのは、恭だから。
約束は、守ってもらわなきゃ、ね……?