【完】STRAY CAT
『っ、もしもし?恭?』
「鞠。お前に謝りたいんだと」
『……あやまりたい?』
不思議そうな声の鞠。
状況はあとで説明しようとひとまずスマホを手渡せば、私怨で俺ら藍華に喧嘩を売っていたこと、そして俺の彼女である鞠を攫って利用しようとしていたことを、ヤツは素直に鞠に伝えて謝った。
「……本当に申し訳なかった。
下のヤツらから、藍華の幹部が来たことで手も足も出なかったと聞いたが、怪我はなかったか?」
『───』
スピーカーじゃねーから、鞠が何を言っているのかは聞こえない。
でもあの性格だから、別に攻め立てるようなこともしないだろう。しばらく会話したあと電話が繋がったまま、俺の手元へとスマホが帰ってきた。
「んじゃあ、また後で片付いたら連絡する」
『……恭は怪我してない?』
「してねーよ」
本当にずっと心配してくれていたらしい鞠。
ホッとしたように「また後でね」と言われて電話を終わらせると、「強い彼女だな」と笑われた。
「わたしには謝らなくていいから。
……怪我した子がいるなら、そっちに謝ってくれ、と」
「………」
「あと、もし君に何かあったら。
今からでも橘花の全勢力を用いて報復する、と」