【完】STRAY CAT







朝からぱたぱたと駆け回るわたしを見て、なんだか心配そうな顔をしているお父さん。

それから、もぐもぐと朝ごはんのコーンフレークを食べている蒔。



「お父さん、なんか変じゃない……?」



「大丈夫、今日もとても可愛いよ。

……しかし鞠。今日は何時に帰ってくるんだ?」



「んー、週末だから恭の家に泊まると思う」



「今週も?

最近いくらなんでも外泊が多い気がするが、」



「じゃあ、そろそろいってきます」



お父さんの小言をスルーして、ソファに置いてあったバッグを肩にかける。

そのタイミングでインターフォンが鳴ったから、恭に「すぐ行くね」と告げて、家を出た。




マンションのエレベーターをおりる時間ですら、なんだかドキドキする。

エントランスを出て待ってくれていた恭に駆け寄ると、なんだかとても心臓がギューッとなった。



「おはよう、恭」



「ん、はよ」



決着をつけてくると言われた日から、数日。

怪我も特になかったからと、週末いきなりデートしてくれることになった。会うのは送ってくれた時以来で、本当に怪我のない様子を見て安心する。



「恭?」



巻いた髪を崩さないように、撫でてくれる恭。

その表情が優しくて、でもじっと見つめられるのは気恥ずかしくて、誤魔化すように名前を呼ぶ。



それでも彼の反応がないから、首を傾げれば。



< 343 / 351 >

この作品をシェア

pagetop