【完】STRAY CAT



「すげーかわいい」



「っ、」



唐突に褒められて、顔が真っ赤になる。

恭にかわいいと言われたくて朝から頑張って支度はしたけど、こんな風にまっすぐ言われるのは恥ずかしい。……でも、すごくうれしい。



「あ、りがとう、恭……」



「ん。……行くか」



手を差し出されて、おずおずと握る。

指を絡めた恋人繋ぎにされると、心拍数が上がった。



最近の恭は余裕げで、なんだかずるい。

手を繋ぐことにさえ、わたしは未だにドキドキしてるのに。




「……意外と人多いわね」



「週末だし、天気もいいしな」



駅まで来てみれば、そこそこの人の量。

電車の中も人が多くて座れずにいたら、わたしのことを支えるみたいに恭が腰に腕を添えてくれて。その距離の近さに、またドキドキさせられる。



そろりと、盗み見るように彼を見上げた。



「っ、」



なのにがっつり目が合ってしまって、急いで視線をもどす。

恥ずかしがってることがバレてるの、余計に恥ずかしい……!



「まーり。……ほら、機嫌なおせよ」



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