【完】STRAY CAT



「思ったよりさくっと回り切れたな」



「イルカすごく可愛かった……」



「よかったな、イルカショー見れて」



13時半。水族館の中をすべて回り終えて、どこかで少し遅めのお昼ご飯を食べようと話しながら、水族館をあとにする。

どのエリアもとても綺麗で、蒔に見せるためと言いながら、思い出を残すためにも写真はたくさん撮った。



これからは、恭や家族との思い出を残していくことにする。

いつまでも、後悔しているだけじゃ進めない。



「なあ、鞠。この後どうする?

メシ食って、そのあと好きに買い物行くっつーならそれで考えるし、今日もウチ泊まるなら、メシ買ってなんか映画でも借りて、早ぇけど帰ってもいいし」



何したい?と聞かれて、少し悩んでから後者を選ぶ。

電車で一度恭の家の近くまで帰ってから、レンタルショップで映画を2本借りて。それから、普段はあまり食べないけど、ファストフード店でハンバーガーをテイクアウト。




「お邪魔しまーす」



「ん。どうせなら映画見ながら食うか」



ふたりで手を洗ったあと、恭がDVDをセットしてくれるのを横目に、買ってきたお昼ご飯を取り出す。

あっという間に準備すると、ふたりで並んでいただきますをした。



行きたかった水族館にも連れていってもらって。

普段とは違うごはんを、一緒に食べて。



「……しあわせ」



ぴったり寄り添いながら、映画をみる。

そんな休日が幸せで恭にくっつくと、自然と顔が近づく。



「……そういや、こないだお前に謝ったアイツ。

帰り際に、お前のこと幸せにしろって言ってきたから、」



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