【完】STRAY CAT
とつぜん笑ったわたしに、目を細める恭。
怒られそうだったから「そうじゃなくて」とあわてて弁解。でもこれは、わたし悪くないと思うの。
「"俺の女"って言ってくれたの、
なんか、ついうれしくなっちゃって」
「………」
「怒ってる?」
そろりと、顔を覗き込む。
「怒ってねーよ」と言いながらもそっけないから、余計なこと言っちゃったかな、ってちょっと不安になっていたら。
「ちょ、ちょっとまって……ストップ!」
甘いキスのあと、ソファに押し倒される。
雰囲気がぶち壊しになるのはわかってるけど勢いよくストップをかけるわたしに、「なんだよ」って目を細める恭。
「もうすぐ、蒔のお迎えの時間……」
「………」
「あと……怖いから、やだ……」
好きって言ったのはわたしだけど。
抱きしめられるのもキスされるのも好きだけど。その先に進めないでいるのは、わたしのせい。……っていうか、まだ中学生だし。
「……もうそんな時間か」
ふっと。
ため息をこぼして、恭が退いてくれる。
それにほっとしていたら、頭を撫でられて。
「お迎え行くんだろ」って言ってくれる恭は、やっぱり、すごく優しい。