【完】STRAY CAT
「ちょっ、なに……!?」
「男の匂いする」
「はあ!?
朝からあんたしか会ってないわよ……!」
「んじゃあ俺の匂い?」
もうやだ、何がしたいのコイツ……
視線を集めてるこの状況が嫌で「そうじゃないの」って逃げようとするわたしを、ハセはがっつり捕まえたままで。
「──すきだよ」
耳元でぼそっと囁かれた言葉に、かあっと全身が熱くなった。
……っ、いやもう、ほんと何してんの!?
「はいはい、イチャつきごちそうさまでーす」
「うるさい果歩!」
ピシャッと一言放って、席につく。
まわりの視線を感じるのが嫌で机に突っ伏していれば、徐々にざわめきも小さくなった。
「むかつくとか思うけどさぁ、」
「橘花さんなんだかんだ美人だし」
「ぶっちゃけお似合いではあるよねー」
わたしを疎む女の子たちは、果たしてどうしたいんだろう、と思う。
ハセに彼女って存在がいるのが嫌なのか、それとも本気で好きなのか。……きっとわたしには、永遠に、理解できないんだろうけど。