【完】STRAY CAT



それでも心配なのは確かだけど。

いつまでも過保護にしているわけにはいかない。ちゃんと成長してるんだし……なんて、親みたいな気持ちになっていたら。



「……、」



途中で、蒔があきらかに遅いことに気づいた。

並んでるのかしらとお手洗いの表示がある方を見てみるけれど、そんな様子はなくて。



まずい、と背中に冷たいものが這った瞬間。



「おねーちゃんっ!」



笑顔の蒔がもどってきて、ほっと息をつく。

駆け寄ってくる彼女に「お店の中で走っちゃだめよ」と注意をうながすけれど、どうも彼女の表情がすごくうれしそうで。



なにか嬉しいことでもあったんだろうかと思った瞬間、空いていた隣のふた席が埋まった。

埋まったというか、お客さんが席に通されたんだけど。




「、」



でも、問題はそこじゃなかった。



「そこできょーちゃんと会ったんだよー」



何の悪気もなく笑ってみせる蒔。

彼女がなかなか戻ってこなかった理由。



「……っ」



男子高校生5人組。

昨日ばったり会った彼をはじめ、全員わたしが一方的に顔を知ってる子ばかり。……だって。



藍華の、現トップファイブ。

写真を見せてくれた張本人も、そのひとり、で。



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