【完】STRAY CAT
「……ひさしぶりだな」
相変わらずキラキラな金髪。
元々高かったのに、また身長伸びたんじゃない?なんて。
「恭……」
かすかに顔をうつむかせる。
……迂闊だった。まさかこんなところで会うとは思ってなかったけど、藍華のたまり場は一駅先のところにある。
会わない可能性はゼロじゃなかったのに。
別れてから一度も会わなかったから、油断してた。
「えっ、恭ちゃんの知り合いなの……!?
恭ちゃんに女の子の知り合いとかいるの……!?」
おどろいたように目を見張るのは、恭の正面に座るかわいい顔をした男の子。髪が水色なんていう奇抜なカラーなのに、よく似合ってる。
残念ながら名前は覚えていないけれど、恭は彼に向かって「チカうるせえ」と吐き捨てた。
「なずちゃん、恭ちゃんが口悪い……」
しくしく泣き真似をした彼は、隣にいる男の子の肩を揺する。
それを受けた"なずちゃん"は、「いつものことだよね」と笑ってみせた。
「なずなも大概だろ」
「恭ほどじゃないよ? ねえ、あすみ」
「どっちもどっちだろ」
恭の隣は、昨日顔を合わせたあすみくん。
……そういえば、喧嘩を見つけて仲裁に入り、彼と会ったのはこの近くだった。ということは、このあたりに藍華のメンバーが来ていたって、なんの不思議もない。
本当に迂闊だった。
気分転換したかっただけなのに。