【完】STRAY CAT
「で、恭とどういう関係なの~?」
なずちゃん、の、さらにその奥。
ふわふわのルビーアッシュの髪を揺らした彼が、いきなり核心を突いてくる。視線を逸らすのに失敗して、思わず口ごもってしまった。
「"色々ありました"って顔してるよね」
「そうなの? 恭ちゃん」
「あったんじゃねーの? 元カノだしな」
なんのためらいもなく。
あっさり恭が暴露したから、一瞬みんな理解出来なくて。「ん?」って顔を見合わせていた。
……なにも、まちがって、ないのに。
元カノって言葉を聞いて、じくりと胸の奥が痛い。
「は……? え、元カノ!?」
「まさかの再会かよ~。
そういや中学ん時は彼女いるっつってたな」
「でもさ、恭の元カノってたしか……」
じっと。
みんなの視線がわたしに集まって、居心地が悪い。
「髪色がピンクで有名じゃなかったっけ?」
……ああ、気まずい。
何が気まずいかって、通路を挟んだ隣が恭ってことも、唐突なこの再会も。なんなのこの状況。
「だからそれがコイツなんだよ。
いまはもう黒髪にしてるだけだろ」