【完】STRAY CAT



……言いたいことはわかってる。

だって毎回毎回、同じようなやり取りをしてるから。



「蒔の前では優しいお姉ちゃんのくせに。

なんで普段はそんな態度なんだよ」



「だってあんたに優しくしても無駄でしょ」



「好きだって言ってんじゃん」



「……、迷惑だって言ってるじゃない」



べつに興味無い。恋とか愛とかそういうのって本当に面倒で、少なくともわたしはどうでもいい。

優先することはすべてにおいて蒔で、他はなんだっていい。



好きだって言われても困る。

わたしにその気はないし、付き合うなんてもってのほか。




おかげでわたしはモテるハセを好きな女の子たちから非難轟々なわけだけど。

テストは常に学年トップ。優等生のレッテルを掻っ攫っておけば教師たちは口だけうるさい女子生徒の集団よりもわたしを優先してくれる。



それもすべて蒔のためだった。

蒔のためならわたしはいくらだって利己的に生きていける。



あの子を守るためだけに自分を犠牲に出来る。

そうやって生きていかなきゃ、いけなかった。



「……はやくあきらめた方がいいと思うけど」



「やだね」



「あんたみたいな物好きって、ほんと嫌い」



わたしに次いで、学年次席。

評価がいいから教師たちからも、まるでわたしの彼氏みたいに扱われてるハセ。冗談じゃない。



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