【完】STRAY CAT
「やきもち~?
もしかして恭ちゃんやきもちなの~?」
「うるせー暖」
「でも、結構長いこと付き合ってたよねえ。
連絡あったらすぐ行ってやるぐらい溺愛してたじゃねえの」
……めんどくせー。
何がめんどくせーかって、過去の女をコイツらに知られたことが。特に暖に知られたことが。
「協力してやろうか?」
「……あすみお前、そういうのに首突っ込むタイプじゃねーだろ。
急に変なとこで干渉してくんなって」
余裕げな笑みがむかつく。
俺のこと揶揄うつもりなんじゃねーの、なんて、卑屈になっていれば。あすみは、わずかに目を細めて。
「藤咲第二だと」
「は、」
「あいつの通ってる高校。
……知りたかったんだろ? 本当は」
去年気にしてたじゃねえか、と。
言い当てられて、言葉をつぐんだ。
ただ、それよりも先に引っ掛かることがある。
……藤二っつったよな?
「あいつ……藤二なんか受けてねーけど」
受験した時はまだ付き合ってたし、俺はあいつの公立私立両方の志望校を知っていた。
そこにちゃんと合格していたことも知ってる。だから知らなくて気にしていたというよりは、知っていたからこそ余計に気になっていただけだ。