ブルーDAY'S〜泣き笑いの日々〜
 しばらくして赤子の注意がふと母親の濃い化粧に戻ってしまったので、私も再び本の世界に戻ることにした。
 それから10分程私が小説に熱中していると何か違和感を感じ目下を見ると、先程のダンシングベイビーみたいな子が、私の膝上にのっているバッグの取っ手をハムハム食べているではないか。しかも、どうよと言わんばかりに上目遣いで。
 これはどうしたもんかと母親の方を見ても話に夢中で気付かない。ひっぺはがしたら泣くだろうしなぁ、と困っている間にも私のバッグの取っ手はデロデロ範囲を着々と広げている。その時である。「あっ!」と母親が気付いたので私が安緒していると、
 「やだ汚い!そんなの食べるじゃないわよ!」とキレだしたのだ。赤子が重い空気を感じて瞬時に泣きだした。なかなかいい五感をもっておられるなお主。
 しかし次の瞬間、母親、と言うのも煩わしいその馬鹿女が私にキレだした。
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