COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
リリリン。
ベルが鳴る。
昼と同様にベルの音だが、夕方は終業の合図だ。
秘書課はチームで仕事を振り分けているので、
残業があってもなくても、全員で一斉退社する。
『すみませんん…』
理央がデスクへ沈んでいる。
「理央、大丈夫。手止めないで」
PCから目を離さずに諭すと
理央は力なく起き上がり、再度タイピングを始める。
理央のタスクが漏れていたのに気付いたのは、
丁度終業時刻の一時間前だった。
『私は予定ないし平気。花緒は?』
高速で指を動かしながら昭香先輩が言う。
『はい、平気です』
さらっと答える花緒先輩。
『こっちもうできますので、日比野さんの仕事をこちらへ回してください。
日比野さんは最終チェックをしてまとめていって下さい』
室長がそれぞれの進行を見ながら的確に指示を出す。
ここぞという時、やはり先輩方は頼りになる。
先輩達のてきぱきとした連携プレーに場の集中力が更に高まっていく。
私もついていかなきゃ。
背筋に力を込めると、再びPCの画面へ向き直った。