COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
CAFE LATTE
*CAFE LATTE 《花緒》
『浄心さん、今日少し残れますか?
手伝っていただきたい資料がありまして』
室長がそう私に言ったのは、15時の休憩が終わろうとしている時だった。
「はい、もちろん大丈夫です」
『お、花緒指名。さっすが右腕ー♪』
向かいのデスクに座る昭香さんが茶化すような口調で言う。
こうして二人きりで残業することは初めてではない。
でも昭香さんは毎回飽きることなくこうしてからかってくる。
『昭香先輩が家遠いからなんじゃないですかぁ?
もっと花緒先輩に感謝しないとー』
理央ちゃんがスマートフォンの画面を指で叩きながら言う。
『言われなくてもしてますよーだ!
はい、30分!
仕事するよ!』
昭香さんの声でびしっと空気が切り替わる。
理央ちゃんはゲームかなにかの最中だったのか、
名残惜しそうにスマートフォンをデスクへ伏せた。