COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
夕方。
終業のベルが鳴ると、それぞれに身支度を始める。
『じゃあお先にね!』
昭香さんの掛け声で皆オフィスを後にした。
こうして残業する日は、このタイミングでお茶を出す。
「どうぞ」
そう言って伏屋室長のデスクにお茶を出す。
『ありがとう。
…なんか、赤いね?』
PCからそれに目を落とすと、表情を変えずに言った。
一瞬何の事を言っているのかわからなかったが、すぐにお茶のことだと気付いた。
「ハイビスカスティーです。
疲労回復効果があるんですよ。」
そう告げると顔を上げた彼が優しく微笑む。
『相変わらず気が利くね、浄心さんは。
どうもありがとう』
その言葉につい頬が緩む。
再びPCへ向き直る彼を見つめて、ふと思う。