COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
『ああ。
そうですね…コンプライアンス的に、駄目ですね』
淡々とした口調とは裏腹に顔を上げた彼は、
いつもの少し困ったような優しい笑顔。
『すみません、失礼なことをしてしまって』
また、突き放す言葉。
やっと彼の心に触れた気がしたのに。
悲しみにも、焦燥にもとれるような気持ちが全身にどっと押し寄せた。
「どうしてですか…?」
ぐっと目の奥に力を入れるが、間に合わない。
零れたものがぼろっと頬を伝う。
彼は一瞬驚いた表情になったが、またすぐいつもの優しい笑顔に戻った。
『…このあと、時間ありますか?』