COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
-Desire-
暗い店内。
通された角にある席はコーナーにそって椅子がカーブしていて、
二人並んで座ることができるようになっている。
すぐそばの壁には水槽が埋め込まれていて、その中には色とりどり熱帯魚が泳いでいていた。
「…すごく綺麗」
水槽をなぞるように眺めていると、隣に座る室長と目が合う。
こんな風に二人で食事をしたりすることは初めて。
緊張を紛らわすようにテーブルの上に置かれたコースターに目を落とした。
そこには黒い文字で”Desire”と書かれていた。
その上にはItalianと添えられている。
店内の雰囲気から察するに恐らく創作イタリアンのお店のようだ。
私たちの働く会社はオフィス街にあるので、飲食店というよりもカフェが多い。
会社の近くにこんなお店あったことすら知らなかった。