COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

『浄心さん、食べられないものありますか?』

メニュー表に視線を落としながら、私に尋ねる。

その姿に改めて今の状況を自覚すると、気恥ずかしさがこみあげてきた。


「いえ…ありません」

『じゃあとりあえず、頼みますね。

食べたいものがあれば後で追加しましょう』

そう言うと、彼はやってきたウェイターにすらすらとオーダーを告げた。

いつもこうしてスマートに対応してくれるところも魅力のひとつなのだけれど。


慣れているのかも、そんな風に考えてしまう私は

きっと彼には幼く映るんだろう。


「…泣かせてしまいましたね。

すみません」

ポツリと言葉が二人の間に落ちる。

顔を上げると、こちらを見つめる彼と目が合った。
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