COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
まともな会話もないまま、食事を終えて
店の外に出る。
彼は名残惜しくもなさそうに、駅へを目指して歩き始めた。
目の前、先を歩く背中を見つめる。
私はまだ肝心なことを言っていない。
私の想いの核にあるもの。
それを言うチャンスがあるとするならば、きっと今しかない。
「…伏屋室長」
私の声に気付き、ゆっくりと歩を緩めるとこちらを振り返る。
意を決して口を開く。
「ずっと…好きでした」
流れる沈黙。
言葉が足りなかったのか、不安に思い始めた頃
ガリ、と靴の底とコンクリートが擦れる音が鳴った。
靴音がこちらへ近付く。