COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

『わは!やっぱり!

どうやって食べたんですか?』


「全部茹でたよ」


静かな店内に春田くんが笑い声が弾けた。

そんなに笑ってもらえたら、私の特訓も無駄じゃなかったかも。
彼の笑顔を見ていたら、自然とそう思えた。


『じゃあ茹でる工程も大丈夫ですかね?

このあと…茹でていくので…っ』

まだ笑いは収まらないようだ。


はぁ、と息を吐くとびしっと仕切りなおして彼が言った。

『よし、じゃあ次はホワイトソースの作り方です!

もちろん既製品でも代用できますけど、今回は手作りしましょう!』


鍋にバターを入れて火をかける。

『最後まで弱火をキープするのがコツです』

そう言うと彼は鍋底を覗き込むように火加減を見た。
私もそれに(なら)うように覗き込む。


「弱火…このくらいか…」

そうつぶやくと、彼が勢いよく顔を上げた。

ぶつかる寸前で顔を上げると、目が合う。
< 144 / 449 >

この作品をシェア

pagetop