COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
別れ際、家に着いたら連絡するように、と念を押された。
時間が時間なので、彼なりに心配をしてくれているのだろう。
そう思って送ったメッセージから、何度かやりとりが続いた。
《お昼のお弁当で、何か食べたいものありますか?》
《サバの燻製かな?と枝豆を和えたやつ、好き》
送信すると、少しして返事が届く。
《じゃあ仕込んでおくので、月曜日入れますね!》
なんだかちょっとズルしている気分になる。
それと同時になんだか少しだけ特別扱いされている気がして、嬉しくなった。
ふと思い立って、クローゼットを開き、その中を眺める。
毎日の仕事。
何を着ていくか悩んだことなんて一度もない。
月曜日がこんなに待ち遠しいと思うことは久しぶりだった。
前の彼と付き合ってた頃は、週末が地獄のようだった。
家族と過ごす彼を想像しては、落ち込んで
それから逃げる為に、泥のように眠りこくっていた日々。