COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
-HANAO-
*WEEKEND
HANAO.
駅の改札を出た向かいの道。
葵堂書店の白いタイルの壁面にもたれかかり、休日の行きかう人達を眺める。
この書店はこのあたりではかなりの大手で駅の中でもよく見かける。
けれど、最近はネットショッピングでも手軽に本が手に入る。
書店に足を運ぶ機会も減ってきてしまっていた為か、この書店がこんなに大きなお店を構えていることを知らなかった。
彼の恋人になってから、たった数日。
仕事以外でまともに言葉を交わしていない。
メッセージのやりとりはあっても内容はかなり淡白なもの。
更に彼は終業後はあまりメールチェックをする習慣がないようで、返事が少し遅い。
それがまた私の不安を増長させていた。
通知音が鳴るたびに、慌てて机の上に置いたスマートフォンを手にしては
彼からの返事でないことに落胆する。
せめて週末に少しでも会いたいと思ってはいたものの、なかなか誘うタイミングが掴めなかった。