COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
久しぶりに恋愛物でも読んでみようか、
そんなことを考えながらポスターから視線を戻すと、知っている顔が私の顔を覗き込んでいた。
そこには伏屋室長の顔。
「びっ
くりしましたー…」
『すみません、悪戯心が騒いでしまって』
そう言う彼はいつもの笑顔のまま。
相変わらず行動が読めない。
ベージュのハイゲージのカーディガンにアイボリーのカットソー。ネイビーのパンツ。
私服は会社のイベントの時に見たことがある。
けれど今日はそれが特別に感じるのは、きっと二人の間に起きた変化のせい。
壁面に沿って歩き、自動扉を抜ける。
平積みの本のそばにはポップが掲げられていて、
”映画化”、”たちまち重版”
といった言葉が並ぶ。
一気にたくさんの情報が飛び込んできて、それらが更に選択を悩ませた。