COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
「新刊、何を買おうか悩んでしまって…」
『やっぱり第一印象じゃないですか?』
普段からよく本を読んでいる彼ならばいいアドバイスをくれるかもしれない。
そう思い訊ねるが、返ってきた言葉は予想に反して淡白なものだった。
それを受けて平積みに視線を戻した私に、彼は更に続けた。
『自分が読む本は自分で決めたほうが良いです』
その言葉に確かにそうなのかもしれない、と妙に納得した。
自分が面白そう!と思って購入した本が、想像通りの面白い本だったときの
あの読書体験は何にも代えがたい爽快感や感動がある。
『僕、ちょっとあっちのコーナー見てきますね』
そう言うと彼は私のそばを離れた。
平積みに視線を戻すと、書店の表で見たポスターを思い出した。
第一印象。
これも一種の出会いというやつだ。
沢山の本の中からそれを手に取る。