COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
『いいから言え』
『……さつき台です…』
私の腕を掴む手にぎゅっと力が入る。
『同じ方向だ』
そう言うと有松さんは再び歩き始めた。
『そう、駅まで一緒に行ってもらったらどう?
私たちも安心よね?優香ちゃん』
花緒さんがふわっと笑う。
隣を見ると、理央がフリーズしている。
『ごめん理央』
小声で彼女を小突いたが、反応はない。
心なしか、いつかのプロボクサーのごとく
灰になりかけているように見えた。