COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
目の前の横断歩道の信号が赤に変わり、立ち止まる。
でも今日は特別に、ちょっとだけ乗ってあげてもいいか。
「んー…
こういうことですよ、ねっ!」
少しだけジャンプするように左肩で、彼の右肩を小突いた。
すると、彼は弾かれるようにこちらへ顔を向ける。
そして訪れる沈黙。
やっぱり乗らなきゃよかった!!
もう大事故!!!
そんなことを思いながら赤いランプを睨みつけた。
早く青に変わってください、心の中で切実に願った。
けれど残り秒数を表した赤いメモリは、無常にもまだあと4つも残っている。
『…お前さ、わかってんの』
「もう、次は何ですか!?」
そう言って見上げた彼は、少しだけ顔をしかめる。
よく見ると、少しだけ耳が赤くなっていた。