COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
『…私、有松さんのことが好きかもしれないです』
そう小さくつぶやいた理央の顔はみるみる赤くなる。
この彼女の顔を見たら、その気持ちが“かもしれない”ではなく、断定であることは一目瞭然だった。
「そっか、いいと思う。
お似合いだと思うよ」
『でも!!』
勢いよく発してしまった言葉を制するように彼女は続けた。
『なんかイマイチ何考えてるのかわかんないんですよぉ…』
小柄な理央が、更にしゅんと小さくなっていく。
「それはちょっと怖いかもね。
でも…私から見ても理央しか見えてないってことはわかるかな」
手にしたコーヒーに口をつけると、鼻にコーヒーのいい香りがふわっと抜ける。
『優香先輩レベルですよほんと!』
理央は勢いよく顔を上げると、至極失礼な発言を投げかけた。
「…真面目に聞いて損した」
その時、背後からクスクスを笑う声が聞こえた。
振り返ると、花緒先輩が口元を手で押さえながら立っていた。