COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

ハキハキ喋る春田くんには珍しく言葉が尻すぼみになる。

彼は私たちの隣を通り過ぎるスーツを着た二人組を目で追うと、腕まくりをした袖を元に戻した。

彼の肩越しに二人組がこちらを不思議そうな顔で振り返って何かを話している。

視線を戻すと、こちらをじっと見つめる彼と目が合った。

「ん?」

何か言いたげな彼の様子が気になり、顔を覗き込む。


『あ、いや…なんか今日の本郷さん雰囲気違いますね!

俺ももっとちゃんとした恰好して来たらよかったなーなんて!』

そういって笑った彼の笑顔がいつもより少し元気がないように見える。


『なんか…ごめんなさいっ!

本郷さんも仕事頑張ってくださいね!』

彼は居心地が悪そうに笑うと、私の横をすり抜けようとした。
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