COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
「別に付き合ってるわけでもないし…」
そう諭しても、ヒートアップしてしまった今の彼女には効き目がなさそうだ。
『理央ちゃん、優香ちゃん細いんだから折れちゃうわよー?』
花緒先輩の言葉でようやく理央は私の腕を解放した。
誰も理央が靴を履いていないことについて触れないのが、らしいといえばらしいのだけれど。
「理央、靴履かなきゃ」
『はぁい』
そう言って私を見つめる彼女の表情にはまだ不満が残っていそうだ。
こんな煌びやかな人達、誰も私の話になんて興味はないんじゃないか。
初めの頃はそう思っていた。
けれど今は違う。
確かに仕事仲間ではあるけれど、それ以上の絆がここにはある気がする。
それに気付けたのは、理央がこうして感情をむき出しにして不貞腐れてくれるからなのかもしれない。