COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
『お前らしくないな』
まるで失望したとでも取れるその言葉に
胸につっかえていた言葉が、口からこぼれる。
「付き合ってもないのに…なんで…」
言葉が上手く発することができずに、語尾が歪む。
このままだと涙が零れる、
そう察した私は咄嗟に俯くと彼の横をすり抜けようと体を動かした。
『待て』
勢いよく壁につかれた彼の手に、行く手を阻まれる。
『それは…どういう意味?』
そう言った彼の口調が心なしか柔らかくなったように感じて、顔を上げる。
「それは…」
目が合うと、まるで体中の血液がぶわっと沸騰するような感覚に襲われた。
このまま蒸発してしまうのではないかと思うほど、体がどんどん熱を持っていく。