COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

『お前…』

その様子に気付いたのだろう、彼は驚いたような表情で呟いた。

恥ずかしさのあまり、咄嗟に顔を手で覆うように隠す。

「いや、あの、」

『日比野、』

私の言葉を打ち消すように名前を呼ぶと、訪れた沈黙。


彼はいつだってまっすぐに気持ちを伝えてくれた。

私はいつもそれを受け取っていただけ。
ちゃんと、自分の気持ちを彼に示さなきゃ。

そう決意して、顔を覆っていた手をゆっくりと離す。

明るくなった視界に飛び込んできたのは、耳を真っ赤にして俯く彼の姿。

照れると、顔をしかめる癖。

幾度となく見てきたその表情の意味を、私はその時やっと理解した。


『その反応は…

正直、期待する…』

彼は何かに踏ん切りをつけるように、顔を上げると続けた。


『……期待していいのか?』

少しだけ甘さを含んだ彼の言葉に、ゆっくりと頷く。
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