COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

次の日も、またその次の日も俺は彼女に会いたい一心でそのバルコニーへ足を運んだ。

聞えてくる彼女の他愛ない会話から、色々な事を知った。

朝の番組の占いを欠かさずに見ていて、
ラッキーカラーのものは必ずどこかに身に着けたり、持ってきたりしているということ。

秘書課に所属していて、どうやら同期入社の伏屋の部下であるということ。

営業部の徳重に憧れているということ。


それと同時に、彼女達目当てでこのバルコニーへ通う連中が多いことも知った。

嫌でも耳に入ってくるその噂話に、彼女が手の届かない遠い存在であることを思い知らされる。

それでもいい。
彼女に振り向いてもらえるなんて1ミリも期待していない。

彼女の話をずっと聞いていたい。
ただ、それだけだった。

それが恋だと気付くまでに、さほど時間はかからなかった。
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