COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

皆の食器を洗っていると、背後に人の気配がして顔だけで入り口を振り返る。

『あれ、浄心さん今日は早いね』

入り口にいたのは同じ階にある財務部の烏森君だった。

各部署にはそれぞれウォーターサーバーや電気ケトル等は設置されているものの、食器を洗うことができるのはこの給湯所だけ。

給湯所といっても扉などは設置されておらず、
廊下の一角に簡易的な作られている共有のスペースなので、こうして他の人とかち合うこともしばしばある。


「あ、烏森君。お疲れさまです」

彼はこちらへ歩いてくると、流し台の空いているスペースへコップが乗ったトレーを置いた。

『最近、忙しいでしょ?

無理しないようにね』

そう言って私の顔を覗き込んだ。
彼はいつもこうして何かと私のことを気にかけてくれる。
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