COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

人当たりの良い彼とは、仲良くなるまでに時間はかからなかった。

スラッとした長身に、ハーフのような甘めの顔立ち。
理央ちゃんの情報によると彼は営業部の徳重くんに並ぶほどの人気者らしい。

でもやっぱり浮いた噂の一切ない楓王子には敵わないんだけどね、と笑った理央ちゃんの笑顔を思い出した。


『…大丈夫?』

ぼうっとそんなことを考えていると隣から不思議そうな声が降ってきた。

「ちょっと考えごと…」

そう言って顔を上げると彼の手がこちらへ伸びてきた。

咄嗟に後ろへ後ずさると、指の先が頬をかすめる。
驚きのあまり言葉がうまく出ない。


「な、に」


『あ、いやなんか顔色悪いかなって。

…嫌な気分にさせたならごめんね』

そう言って彼は少し悲しそうな表情を浮かべた。
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