COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
私、何をしているんだろう。
彼は私を心配してくれているのに。
今の私は周りの人を嫌な気持ちにさせるばっかりだ。
「私こそごめんなさい、ちょっと疲れてて…
少し驚いただけだから」
洗った食器の水を切り、タオルを敷いたトレーに急いでそれを並べると彼に向き直った。
「本当にごめんなさい…。先に行くね」
『ううん、こちらこそごめんね。
午後も頑張ろうね』
そう言って笑う彼を見ると、罪悪感で更に胸が痛んだ。
頬に触れたのは同じ“手”なのに、こんなにも違う。
触れてほしいと思う手はひとつだけ。
それが叶ったはずなのに、こんなにも苦しいのは何故なんだろう。
雑念を振り払うように大きく息を吐くと、給湯所を出た。