COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
『今日は大丈夫ですから、帰ってください。
明日も仕事ですし、皆抱えてる仕事がそれぞれあります。
忙しい時こそ生産性を重視していきましょう』
優しい言葉。
でもそうではないと私にはわかる。
また、突き放されたんだ。
取り付く島もないとは、まさにこのことだ。
「わかりました」
そう言うと鞄を手に取り、
昭香さんの号令を待つことなく足早へ扉へ向かうとオフィスをあとにした。
『ちょっと…花緒!』
エレベーターを待っていると、肩を掴まれ後ろを振り返る。
そこにはすぐに後を追ってきた昭香さんがいた。
『花緒先輩!?』
その後ろから理央ちゃんと優香ちゃんも小走りでやってくる。
皆、心配そうな表情を浮かべてこちらを見ている。
本当に私は何をやっているんだろう。
公私混同もいい加減にしなくてはいけない。
社会人になっても自分がこんなに子供じみたことをするなんて、思ってもみなかった。