COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
…まぶしい人だなぁ。
眩しすぎて、羨ましくて。
どこからか妬ましさに似た気持ちが沸き上がるのを感じると、
はっと我に返る。
そんな感情、こんな純粋な人に向けていいわけがない。
自分の心の汚さを隠すように視線を落としたまま言う。
「で…いくらですか?」
『あ、すみません!1180円です!』
そんなことは気にも留めてない様子で彼は答える。
お財布から2000円を取り出すと、
ガラスケースの上に乗っているカルトンへお金を置こうとした。
その時、
カウンターの向こう側から手が伸びてきて
がしっと手首を掴まれた。
「!?」
咄嗟に手を引っ込めようとしたが間に合うはずもない。
『やっぱり、すごく細い。
…ちゃんと食べてますか?』
彼は突然、真面目なトーンで言うとじっとこちらを見た。
訪れた沈黙をカラン、と客の来店を告げるベルが破る。
それを合図にぱっと手を放すと、また彼はニコリと笑った。
『…おまけ、つけときますね!
自家製プリンです!』