COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
『どこかお店に入りますか?』
「…いえ、
二人きりで話をしたいので、家に行ってもいいですか?」
我ながらすごい図々しい申し出をしていることは承知の上だったが、
彼は少し悩んだ後、それを承諾した。
彼は家に着くやいなや、大きなブラウンのソファに腰を下ろした。
目の前のテーブルには開きっぱなしになったノートパソコンが置いてある。
『そこ、座ってちょっと待っててください』
「すみません、お仕事中に」
彼の隣に腰を下ろすと、
彼は手慣れた手つきでノートパソコンを操作すると、それを閉じた。
『それで、どうしたんですか?こんな夜遅くに』
白々しい彼の言葉に、ぐっと言葉が詰まる。
遠回しなことを言ったところで、きっと彼は突き放すだろう。
それは私が何度も経験してきたことだ。
「…わかってるでしょう?給湯所で…、あれは誤解ですから。彼とは何もないですし…」
彼はまっすぐ前を見つめたまま、私の話を聞いている。