COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
背中にソファの柔らかい感触を感じると、視界が開ける。
目の前には、私を見下ろす彼の顔。
『花緒…』
私の名を呼ぶ声を合図に目を閉じると、唇が重なる。
大きな手が優しく首筋に触れると、彼の舌が私の口を開かせるように侵入してきた。
角度を変えて何度も何度も私を求めるその唇の感触に、またあの感覚が襲ってきた。
まるで脳の芯が溶けていくような、不思議な感覚。
けれど今までとは明らかに違う、
私を深く求めるようなキスや、余裕のない表情。
それらは、まるで私が欲しいと叫んでいるようだった。
彼の手が私の服の上を滑るように首筋からゆっくり下へと動く。
その手がブラウスの中へ差し入れられると、私の素肌に彼の手が触れる感触。
頬に触れられた時とは比べものにならないほど、私の鼓動は早まっていく。
その間も止むことのない私を求めるキスに、いつの間にか私も夢中で応えていた。
彼のことが欲しい。
こんな風に誰かを求めたことは初めてのことだった。
彼の手が更に下へと滑ると、唇と唇の隙間から声が漏れる。
「室長…っ」
『名前で呼んで』
そう囁くように言った彼の言葉に応えるように、私は彼の名前を呼んだ。