COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
「春田くん、」
その時。
彼のその腕が優しく私の身体を包み込むように抱き締めた。
強張った身体も優しくて暖かい彼の体温に包まれると、さっきまでの息苦しさが嘘のように落ち着いていく。
やっぱり春田くんはすごい人だ。
いつだってこうして凍り付いたように強張った心を溶かしてくれる。
やっぱり、私にとって春田くんは特別な人なんだ。
ぽうっと心の中に浮かんでいた気持ちが確信に変わっていく。
先程とは違う鼓動がそれを教えているみたいに煩く脈を打った。
どのくらいそうしていただろう。
呼吸が落ち着いてくると、もう大丈夫であることを伝えようと彼の腕の中で身動ぎをする。
それに気付いた彼は、まるで私を離さないといわんばかりに抱き締める腕に力を籠めた。
「あの、」
『…俺じゃ、駄目ですか』
耳元に彼の切ない声が零れ落ちる。