COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
CAFE MACCHIATO
*CAFE MACCHIATO 《昭香》
手に伝わる、じわりとした温かさ。
今日は少し足を延ばして、会社の最寄り駅にあるチェーン店のテイクアウトのコーヒーを買いに出ていた。
チェーン店とはいっても、最近のチェーン店は質を取っているお店も多く、なかなかあなどれない。
味も良く、何よりもメニューが豊富だ。
人気なのもなるほど、納得といえるものだ。
食後のコーヒーはいつも少しだけ悩む。
ブラックでキリっと気持ちを引き締めるか、デザート感覚の甘いフレーバーにするのか。
今日は断然後者の気分だった。
けれどそうなると缶コーヒーではなかなか満足できないので、こうして外へ買いに出たりもする。
今日はオフィスではなく、休憩室でまったりとくつろいでから戻ろう。
休憩室のある階でエレベーターを降りると、見慣れた背中が視界に入った。
「…基くん!」
私の声にその背中が振り返る。
『中島さん、お疲れ様です』
その背中は休憩室とは逆方向へ向かっていた。