COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

視界の端、彼はこちらをじっと見つめると前を向き直った。
きっとこの感じは、私の意図を読んでいるな。

こうなったらもう直球が一番だ。

彼に変化球を投げたところで、上手くはぐらかされるだけだ。

一度そうなれば、なかなか彼の本音は姿を現さない。
それを深追いしたところで徒労に終わる。これも長い付き合いだからわかること。

「…仲直り、した?」

彼は息をひとつ吐き出すと、力の抜けた顔で微笑んだ。

『やっぱり、知ってたんですね。

…はい、おかげさまで』


「花緒、あの子大変でしょ?あの容姿でただでさえモテる上に人当たりはいいし。

色んなところで色んな人無自覚で引っ掛けちゃうし」

彼は宙を見つめて少し考えると、ニコリと笑う。

『…首輪でもつけておきましょうかね?』

優しい笑顔で何を言うかと思えば。
彼が言うと一切冗談に聞こえないから不思議だ。
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