COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
「…気付いてたかぁ。
うん…もう打つ手なし、って感じだよね。
あの通り勇太は理央しか見えてませんって感じだし」
前を向き直ると、青空を仰いだ。
こんな辛いカミングアウトをしている時でさえ、人は案外笑えたりする。
それは諦めからくる笑いなのか、自分に対しての呆れなのかはわからないけれど。
「告白すらできなってわけ!片思いもいいとこ!」
突き抜けるような空へ向かって、吐き出すように言った。
胸に走る痛みと共に、楓の顔が浮かぶ。
そしてそんな私は人を利用して、傷つけて。
こうして目の前にいる、旧友にさえ言えないことをした。
『そうですか…。同期の僕としては、
中島さんにも幸せになってもらいたいと思ってるんですけどね』
想定外のその言葉に思わず彼を見た。
彼の顔は至って真面目といった感じで、その言葉の裏に意図は見えない。