COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
CAFE AU LAIT
*CAFE AU LAIT 《理央》
どうしてこんなことになったんだろう。
静まり返ったバルコニーで一人、私は動けずにいた。
窓の外に広がる青空に誘われるように、私は久しぶりバルコニーで休憩を取っていた。
とは言っても昔使っていた大きなバルコニーではなく、新設された休憩室と同じ階にある小さなバルコニーだ。
今日は運良く誰も利用者はいないようで、
突き抜けるように晴れ渡った空を独り占めしたような贅沢な気分になる。
私はバルコニーを二分するように設置された植え込みの傍にあるベンチに腰かけて休憩を取っていた。
ふと振り返ると、背後に生い茂る緑が目に入る。
最近、ここの手入れも随分と雑だなぁ…
そんなことを思いながら植え込みに生い茂る目隠し代わりの庭木に触れた。
その時、入り口の扉が閉まる音と共に二つの声がバルコニーへ入ってきた。
この声は。
その聞き覚えのある二つの声に、
私は咄嗟に植え込みの傍に身を隠すようにしゃがみ込んだ。