COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―
だって今まで私は…。
昭香先輩と交わした会話。やりとりしたメッセージ。
そのひとつひとつが頭の中を駆け巡った。
有松さんが秘書課へ押しかけてきた時も、私の背中を押してくれた。
“『…いいんじゃない?』”
そう言った昭香先輩はどんな顔をしてたの…?
私は、何てことをしてしまったんだろう。
何も気付いていなかった。否、気付こうとしていなかったのかもしれない。
いつもいつも彼女の傍にいたのに。
彼女の笑顔を思い出すと、胸が締め付けられるように痛んだ。
二人の会話にぼんやりと意識を戻す。
『…時間はかかるかもしれないけど、
ちゃんと二人を応援したいって思ってる』
静かにそれを告げた、凛とした彼女の声は
自分の存在の小ささを更に浮き彫りにしていくようだった。
視線を落とすと、ピントの合わないぼやけた視界の中、自分の両足がぼんやりと映る。
「…っ」
気付くと頬を伝う涙に、咄嗟に口元を押さえた。