COFFEE & LOVE―秘書課の恋愛事情―

【まもなく、さつき台、さつき台…】
このアナウンスが聞こえるまでの記憶がほとんどない。

緊張のせいか、駅に着くころには背中には変な汗をかいていた。

「あ、じゃあ…あたしここなので…」
そう言うと椅子からそろりと立ち上がる。

『…わかった、家まで気を抜くなよ』


…あなたは上官かなにかですか?

心の中でツッコミを入れつつ、ヘラヘラとお礼を告げた。

電車が停車したので、挨拶をしようと振り返る。


「有松さんもお気をつけ『日比野』

近くで声がしたと思った瞬間。

扉が閉まる音と共に腕を引かれてホームへ出た。


…何が起きたの?
頭が働かない。

目の前には、有松さん。
ゆっくり顔を上げると目が合った。


『今度、一緒に行かないか。

…パン屋』


NEXT

*CAFE LATTE
< 28 / 449 >

この作品をシェア

pagetop